ステキなUX、損するUX
2種類のヒューリスティック評価
ユーザビリティを評価するのには大きくは2つの方法がある。ヒューリスティック評価とユーザビリティテストだ。ヒューリスティック評価はユーザビリティの知識があるものが評価する方法で、ユーザビリティテストは実際に利用するユーザーが利用する様子を観察しユーザビリティ上の問題を発見する方法だ。今回はそのヒューリスティック評価についてのおはなし。
ざっと全体見て問題をまとめてくれればOKと言うけれど
「このサイトのヒューリスティック評価をお願いします」という依頼を受けることがある。依頼されるときは大抵短期間で評価を求められる。そして「ざっと全体を見て問題と思われるところをまとめてくれればOKです。それではよろしく」といった感じでお願いされることが多い。
しかし、ヒューリスティック評価と一言で言ってもどのようにしたらよいかはサイト(プロジェクト)によってことなる。そのため「全体見て問題をまとめますけど、評価する前にもうちょっと詳しくお話ししましょうよ」と言うようにしている。
ヒューリスティック評価と一言で言っても
ヒューリスティック評価には大きく2つのやり方がある。まず一つめの方法は、ユーザビリティのガイドラインに照らし合わせ○×をつけるようなやり方だ。リンクはリンクと分かるようになっているか、ボタンは押せるように見せられているか、など多くはどのようなサイトにも当てはまるようなユーザビリティの原則に沿って判断していく。この方法はある程度経験を有していればユーザビリティの専門家ではなくても評価できる方法だ。
それとは別にユーザビリティの知見が必要になる評価方法もある。エキスパートレビューと言われたりもする方法だ。ユーザーのニーズを満たしているか、目的を果たせているかということは先のガイドラインに沿って評価したヒューリスティック評価では分からない。そもそもサイトに掲載している情報(コンテンツ)が足らないかもしれないし、ユーザーの動線がサイト運営者の意図しているものと違うかもしれない。それを評価するのがこの評価方法だ。
ユーザーやサイト、業界のことを知らないときちんとしたレビューはできない
エキスパートレビューの場合、「サイト評価よろしく~」だけでは評価することができない。
どんなユーザーが来るのかも分からないし、サイトを運営している人がどうしたいのかも分からない。業界によってWebへの取り組みもずいぶん違うのでその辺りのことを知っておくのも重要だ。
サイトがうまくいっているのか、問題があるのかということは、どんなユーザーが来て、ユーザーは何を求めているのか、サイト運営側はどのようなことをしたいのか、それが分かって初めて分かることだ。
車のサイトを例にとってみよう。ドライブが好きな人がいる。そんな人には「この車乗ったら気持ちいいんだろうなぁ、楽しいんだろうなぁ」と思わせられたらそのサイトはまぁうまくいっているのだろう。そのためには楽しいドライブを想起させるような、わくわくさせるようなものが伝えられるようになっていればよいということになる。
でも、車は何も楽しむために乗っているわけじゃない、日々の生活に必要だから乗っているという人もいる。そんな人に「この車は乗ったらわくわくしますよ」なんて伝えても、「いや、わくわくは別にええのよ。そんなことより燃費が良くて小回りがきけばいいのよ。」と返されてしまうだろう。前のわくわくを伝えるようなサイトだとこのユーザーにとっては特に求めている情報とは違ったものを訴求されていることになってしまう。気になっている燃費や小回りなどはもちろんどこかに載せているのだろうけど、探さないと見つからないかもしれない。他の車と比べてどれくらい燃費がいいとか、こんなに小回りがきくといったものを最初に伝えられればこれらのユーザーにとってはいいサイトなのに、そうなっていなければこのユーザーにとっては知りたいことをすぐ知ることができない、分かりづらいサイトになってしまうのだ。
同じような作りのサイトであってもユーザーが違えば求めている情報も違う、サイト運営者が伝えたいことも違うだろう。それを知らずに、サイトがうまくユーザーのニーズを満たしているかなどの評価をすることはできない。より役に立つ評価のために、これらのことを知った上で評価をすることが大事なのです。
最近のコラム
- ガラス修理はLineで見積り(2017年5月24日)
- 九段下の「バカの壁」(2016年6月30日)
- チケットぴあのおまかせエントリーは使える?(2016年6月8日)
集客やコンバージョン、Webサイトについて相談してみたいことはありませんか?
コンバージョンを増やしたい、集客を増やしたい、Webサイトを作りたい・リニューアルしたいといったご要望に14年にわたり応え続けてきました。
まずは話をしてみたい、どんなことができるのか聞いてみたいといったことでも大歓迎です。お気軽にご相談ください。