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競合調査は同業他社だけ?

多くの人が競合調査をやっていると思う。レポートとしてまとめることはないかもしれないけど、同業の企業のサービス・製品を知ったり、どんなWebサイトになっているかをチェックすることはあると思う。

私もまとめるかまとめないかはプロジェクトによって違うけれど、同業他社のWebサイトがどんなものかはいつも見ている。クライアントは競合のことをもちろん知っているわけで、それを知らないとクライアントと話ができないことも少なくない。

その競合調査で調査対象となるのは同業の企業だ。電機メーカーなら他の電機メーカーになるし、ファッションECサイトなら他のファッションECサイトが対象になる。電機メーカーの企業の競合調査にファッションECサイトを調査することはない。

でも「体験」ということを考えてみると、体験の競合は同業他社に限らない場合がある。コーヒーを出す喫茶店の場合を考えてみよう。「おいしいコーヒーを飲んでもらう」このことをユーザーに提供しようとしている喫茶店の競合は、やはり同じような喫茶店になるのだろう。コンビニとかでも最近いろんなコーヒーは売っているが、おいしいコーヒーとなると競合はやはり喫茶店になるだろう。

しかし、「休憩してもらう」という体験を考えるなら、競合は喫茶店に限らないことになる。休憩できるところは何も喫茶店だけではない。ファミレスだってホテルのロビーだって休憩できる。競合になるのだ。

自分の場合を考えてみると、「休憩しようかな」と思うとき、喫茶店は確かに候補にあがる。しかし喫茶店ならどこでもいいというわけじゃなく、空いている喫茶店じゃないと入らない。混んでるところは嫌いなのだ。そして値段が高くてもいけない。コーヒー一杯、800円もするようなところはやはり入ることは滅多にない。そんな高級な喫茶店へはどうしても喫茶店に入りたくて、でも周りには混んでいる喫茶店しかなくて、見つけたのがいい雰囲気で一時間以上居座ることが決まっているときようやく候補にあがるくらいだ。

これは喫茶店の場合だが、休憩しようと思ったとき、なにも喫茶店だけが候補にあがるわけじゃない。えらい寒かったり暑かったり、また花粉が飛んでいない時にはたいてい公園を探す(花粉は嫌いでその時期はほぼひきこもり状態なくらいです)。飲み物はその辺の自販やコンビニで買えばよくて、のんびり公園で座っていれば休憩できる。子どもたちが遊んでるのを見たり、おじいさんやおばあさんに交じって日向ぼっこをするのも好きだ。

この場合、休憩したいとき、候補にあがるのは、喫茶店と公園ということになる。喫茶店の競合が公園になるのだ。喫茶店の競合が公園、なんか変な感じもするが体験ということでは競合なのだ。

競合調査は同じ製品やサービスを提供している企業で調査する、と決めつけていると、違う業界の企業は調査しないだろう。しかしこのように、「体験」ということを考えると、競合は何も同業他社だけではなくなる。「同じ体験を受けられるところ・もの・サービス」これを考えて競合を選ぶことが必要なのだ。

中東 優

執筆者

中東 優(UXデザイナー / インフォメーションアーキテクト)

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