ステキなUX、損するUX

SNSで広げる演劇の評判

先週は連日で演劇を見に行った。3/24(木)はキャラメルボックスの『きみがいた時間 ぼくのいく時間』、3/25(金)は新感線の『乱鶯(みだれうぐいす)』だ。新感線は毎回見に行ってていつも通り楽しめた。キャラメルボックスはチケットが1枚余っているからともらったので初めて見に行ってみた。

キャラメルボックスは、いつも見に行っているようなものよりもブラックが少ない感じで、久々にこういうのを見るなぁと楽しめた。周りの人が結構泣いてた。泣ける劇は久しぶりだった(ボクは泣かなかったけど)。主演の阿部丈二がいい感じで見に行ってよかった。

撮影タイム

このキャラメルボックスの演劇の終わりには撮影タイムがあった。席は動いちゃいけないけれど、写真撮影OKの時間を設けていたのだ。劇中の1シーンを再現したものと演者みんなが並んでいるカットを撮影することができた。これは演劇では初めて出会ったことだった。

評判を聞いて見に行く演劇

自分の場合、好きな劇団や演出家の演劇を見に行く。好きな俳優・女優だから見に行くこともたまにあるけどそれはまれだ。好きな劇団や演出家だから、内容やキャストは違うけれど、どこか共通しているものがある。そこが好きだから見に行くのだが、全く新しいものと出会うことは少ない。

映画の場合だと、評判がいい映画というのがある。公開当初はそこまで知られていなかった映画だが、公開後クチコミで面白さが伝わり多くの人が見に行くというケースだ。一定期間毎日のようにやっているということで言えば映画も演劇も同じだ。しかし、演劇の場合、評判が伝わってくることはあまりない。映画とは違い、多くの人が評価・レビューする場(サイト)がないというのも理由の一つだろう。

レビューサイトの他に評判を伝える手段となるのはtwitterやFacebookなどのSNSだ。見た感想などを投稿する人をフォローしていたり友達になっていればタイムライン上に流れてくる。俳優や演出家をフォローしていれば同じようにタイムライン上に流れてくる機会は多いだろう。

そのSNSでは写真が重要だ。Facebookにおいては何の写真もない投稿は最近かなり少なくなってきたように思う。その重要なシェアのための写真だが、演劇の場合、劇場の入り口に貼ってあるポスターくらいしか対象になるものはない。

入場前や休憩時間に撮っておけば後で投稿できるのだろうが、見る前は投稿するつもりはそもそもない。「見に行きましたよ」的なリア充アピールなどはしたくない。見てみて、「よかったな、他の人も見に行ったらいいな」と思えるものの場合だけ、投稿するのだ。

よかったかどうかは公演後に分かることだ。投稿するかどうかは公演後に分かるのだ。それは、投稿に必要となる写真がいるかどうかも公演後に分かることを意味している。なら公演後に写真を撮ったらいいじゃないかと言うかもしれないが、芝居を見終わって帰るときには入り口はお客さんでいっぱいになっている。その中で写真を撮るのは結構めんどくさい。もみくちゃにされながら上手に撮れないけれどとりあえず撮るか、もしくはお客さんが少なくなるまで10分くらい待つことになる。どうしても投稿したい!写真を撮りたい!と思わなければまぁいいかとあきらめてしまう。

そうなると、シェアするための写真がない。写真がないから投稿しない。となるのである。その点、今回観たキャラメルボックスでは撮影タイムがあった。これは投稿する仕組みとしてはとてもいい。

実際、twitterを見てみると、投稿している人が結構いる。これを見て、見に行こうかなと思う人もいるだろう。「キャラメルボックスか、おもしろいんだ」と思わせるだけでもかなり価値がある。これは撮影タイムがあったからこそよりSNSで広がったんだと思う。

決まったお客さんだけ来てくれればよいということであれば評判など気にしなくてもよいかもしれない。そうではなく、いろんなお客さんに来てほしい、初めてのお客さんにも見てもらいたいということであれば評判を伝えるということも考えていくことが重要だ。その点、キャラメルボックスの撮影タイムはよい取り組みだと思う。このような評判を伝える取り組みがもっと広がっていけば、ボクたち演劇ファンも見たことがなかった素敵な演劇に出会うことができるようになる。そうなっていけばよいね。

中東 優

執筆者

中東 優(UXデザイナー / インフォメーションアーキテクト)

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